
旅館などにあると思わずのんびりと浸かりたくなるのが、「ひのき風呂」。お高い&シカクいイメージのある「ひのき風呂」だが、最近ではデザイン性にもすぐれたものが登場、日本のみならず、世界中からも注文があるとか。では、おいくらなのか、手入れのコツなどを聞いてきた。
タガがなく、曲線が美しいひのき風呂は200万円〜!
今も昔も、お風呂の最高峰といえば、ひのき風呂。ジャグジーと並んで、豪華なお風呂の代名詞といえる存在だ。そんなひのき風呂、近年ではデザイン性にもすぐれた商品が誕生しているといい、日本のみならず海外からも注文が入るとか。どのくらい人気なのだろうか。
「当社では年間700槽ほど出荷していますが、注文が続いていて生産が間に合わない状況です。職人もぴりぴりしていますよ(笑)」と話すのは、檜創建の堀内 辰実さん。林業で知られる岐阜県中津川市にある会社だ。現在の注文のうち国内が9割超としながらも、海外からの問い合わせ、出荷も増えたという。では気になるお値段はいくらくらいなのだろうか。
「安いものだと40万円〜からご用意しています。ただし、当社が主力としているO-Bathは200万円〜。国産ひのきや青森ひば、高野槇、外国産木材を使うかなどによって、値段は異なります」。40万円と聞くと意外とリーズナブルな気もするが、さすがにデザイン性にすぐれる浴槽「O-Bath(オーバス)」は、お値段もステキだ。このシリーズはタガを使わない美しい流線型のデザインが特徴で、デザインを監修したのは、東京藝術大学などの客員教授を歴任した川上元美氏。
伝統的なシカクイ浴槽もいいが、やはりデザインの力でスタイリッシュになるとぐっと木の美しさが際立つ。それでは、一般家庭からの注文はあるのだろうか。
「現在の注文ですが、一般家庭とホテル:旅館:老健施設が1:1:1くらいでしょうか。特に目立つのは、首都圏や京都の旅館からの引き合いですね」(堀内さん)と話す。海外からの旅行客が増え、こうした日本ならではの、ひのき風呂への関心が高まっているようだ。

【画像1】こんなひのきのお風呂、我が家にもほしい…! (写真提供/檜創建)
外国人も高齢者もひのき風呂が大好き!一般家庭では、どんな人が注文しているのだろうか。
「自宅で温泉気分を楽しみたいという人や長年の憧れという人、もしくはお風呂はひのきでないと、という方が多いと思いますね。新築と中古であれば、やはり新築時に注文という方が多いように思います」と堀内さん。また、海外からの旅行客が旅館で日本のひのき風呂を体験してみて、ぜひ自宅に! と注文する人もいるそう。
「韓国のさる財閥の会長のご自宅、韓流スターのご自宅にも当社の浴槽を納品しました。韓国の家は簡素なシャワーとトイレがセットになっていることが多いのですが、『日本でひのき風呂に入る』体験をすることで、我が家にも…となるようです」と背景を話す。
ちなみに、ひのきの浴槽を納品した老健施設からは、「利用者のおじいちゃん、おばあちゃんがお風呂を楽しみにしている」「心身ともにリラックスできる」といった声が寄せられているそう。高齢者はもちろんのこと、外国人まで魅了するひのき風呂、恐るべしである。
また、大変なイメージがある、ひのき風呂のお手入れ方法についても聞いてみた。
「木のいちばんの敵は湿気です。一般家庭では利用後にお湯を抜いていただき、乾燥させてもらえば、通常、10年前後は利用できますし、上手にお使いのご家庭では20年25年とご愛用いただいています」といい、特段難しいことをする必要はなさそうだ。
「入浴の習慣は本当にすばらしいもの。私どもが入会している “ホットジャパンプロジェクト”は世界にこの文化を発信し、世界文化遺産登録をめざしているんですよ」と力説する堀内さん。身近すぎてあまり気がつかなかったが、確かにお湯につかるとなぜかほっとするし、気持ちも和むもの。さっそく今日もひとっ風呂浴びて、リラックスするとしますか。
●取材協力・檜創建
・ホットジャパンプロジェクト元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/08/117046_main.jpg
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