
国土交通省は、セーフティネット住宅に登録するための基準となる、ひとり親世帯向けのシェアハウスの要件を新設した。これによって、家賃が低額な住宅にひとり親世帯が入居できる選択肢が増える。どういったことか、詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】
ひとり親世帯向けシェアハウスの基準を新設/国土交通省セーフティネット住宅とは、住宅を借りるのが難しい人のための住宅
新型コロナウイルスの感染拡大による雇用環境の悪化で、ひとり親世帯は失業や減収など、生活を脅かされている。特に非正規雇用のひとり親の場合、事態はより深刻だろう。住宅の確保は生活の基盤であるため、低額な家賃の住宅を借りやすくする政策が望まれる。
それに対応するのが、「セーフティネット住宅」だ。どういった住宅なのかを説明しよう。
低額所得者や高齢者、被災者、子育て世帯など、入居審査などで不利となり住宅確保が難しいと言われている人は、政策的に住宅確保要配慮者とよばれている。こうした人たちが賃貸住宅の入居を希望したときに、入居を拒まない住宅を登録しているのがセーフティネット住宅だ。ひとり親世帯(18歳未満の子ども)で一定額以下の月収の場合は、この住宅を利用できる。
セーフティネット住宅には、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅とそうした人たち専用の住宅の2タイプがある。専用の住宅の場合、大家は2つの補助が受けられる。ひとつが住宅の改修費に対する補助で、もうひとつが入居者の家賃を安くするための補助だ。専用住宅は、これらの補助を受けて家賃や家賃債務保証料が設定されるので、借りる方には経済的メリットが大きい。
また、セーフティネット住宅に登録されるには、一定の広さや耐震性などを満たす必要がある。登録基準は、一戸の場合とシェアハウスの場合で異なり、これまではひとり暮らし用のシェアハウスの基準しか設けられていなかった。今回は、シェアハウスの基準に「ひとり親世帯用」の基準を新設したため、ひとり親世帯の選択肢が増えることになる。
セーフティネット住宅のマッチングや入居支援をする団体があるセーフティネット住宅は、自身で「セーフティネット住宅情報提供システム」のサイトから探すことができる。物件の概要や写真、家賃、敷金・礼金、問い合わせ先などもこのサイトで確認できる。しかし、セーフティネット住宅の特徴は、マッチングや入居支援してくれる相談窓口もあることだ。
各地にある「居住支援法人」は、登録されたセーフティネット住宅の情報を提供するだけでなく、生活支援などの相談に応じることになっている。入居者にとっては、家賃債務保証や、見守りなどの生活支援などの幅広いサポートを受けることができるのが大きなメリットなのだ。
住宅確保要配慮者にあたる人で、賃貸住宅の入居に困難を抱えている場合にはまず、自分が住む自治体のサイトで「居住支援法人」を検索し、その中から相談窓口を見つけて相談することをお勧めしたい。
さて、新型コロナウイルスの影響で、一部の業態の雇用が喪失するといった事態も起きている。なかには、住居費の負担に困って金利の高い消費者金融から借りることを考えている人もいるかもしれない。しかし、きちんと探せば、利用できる救済措置が見つかることもある。困ったときこそ、適切な相談窓口に相談して、多くの情報を集めることが大切だ。
●登録住宅について:セーフティネット住宅情報提供システム●住宅確保要配慮者居住支援法人について:国土交通省元画像url https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2021/04/179362_main.jpg
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